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総務リーダーとして最初に身につけておくべき思考スキル
総務リーダーとなったとき、これからどのように振る舞っていけばいいのか、ネットで検索したり、本を読んだりする人も多いかと思います。
もちろんどれも為になることが書かれているのですが、中には使い方を間違えて袋小路に迷い込み、苦しむことがあります。
今回は、その罠を取り上げながら、総務リーダーとして大切な思考スキルについてお伝えしていきます。
総務リーダーとして課題を解決していくために身につけておくべき2つのスキル
・WHY(なぜ)をやめて「HOW(どうどうやるか)」に切り替えること
・潜在意識を活用すること
優れたリーダーに必要なゴールデン・サークル
あなたは「ゴールデン・サークル」という言葉をお聞きになったことがあるでしょうか?
ベストセラー本となった「WHYから始めよ」の著者であるサイモン・シネック氏が提唱している理論です。
優れたリーダーとしてメンバーに行動を促していくためには
WHY(なぜやるのか)
HOW(どうやるのか)
WHAT(なにをするのか)
の順番で円の中心から外に向かって伝えていくことが大切だとしています。
なぜなら、人はWHAT(なにをするのか)ではなくて、WHY(なぜやるのか)に心が動くからです。
人は感情の生き物だから、WHYである理念や大義に動かされるということです。
だから、優れたリーダーになるためにも「WHYを語れ」と述べています。
事例としてApple社は、このゴールデン・サークル理論を取り入れており、WHYから伝えているからこそ、全世界に熱狂的なファンを増やしていると言われています。
iPhoneなどの商品は、Appleの理念や大義を具現化したものに過ぎないということなんですね。
例えば、リーダーとしてメンバーに指示をするときに
ただ「この書類を作ってほしい」と伝えるよりも、「役員会で使う重要な書類を作ってほしい」と伝えるのとでは受け取る印象がぜんぜん違いますよね。
相手に仕事の目的が伝わりますし、モチベーションを上げる効果もあります。
こんなふうにWHYを使っていければいいのですが、少し使い方を間違えると袋小路に迷い込むことがありますから注意が必要です。
WHYには袋小路に迷い込む罠がある
総務リーダーとして仕事をしていくと様々な課題が出てきます。
目標がうまく設定できない
メンバーが思い通りに動いてくれない
上司、メンバーとの人間関係がうまくいかない
など、次々出てくるかもしれません。
このようなネガティブなときにも「WHY」を使ってしまうと、袋小路に迷い込んでしまうことがあります。
「なぜできないのだろう・・」
「なぜ動いてくれないのだろう・・」
「なぜうまくいかないのだろう・・」
こんなふうに考えて
「だって能力がないから・・」
「そうは言っても相手が悪いから・・」
「リーダーとしてのスキルが不足しているから・・」
と、ネガティブなことばかりを考えて、ストレスだけが増えてしまいます。
私はメーカーの工場に長らく勤めていましたので「常にWHYを考えろ!」と言われていました。
品質改善を図るQC活動などでは、常に問題の原因を考えるWHYが大切だからです。
このように、考えるときにWHYを優先して使ってしまう人は多いと思います。
しかし、そのことに気づいていません。
だから、WHYを使うことでいつの間にか袋小路に迷い込み、自分を責めたり他人を批判したりと課題を解決できないまま悩み続けてしまうのです。
なぜ袋小路に迷い込んでしまうのか?
突然ですが、あなたは「覚えているはずなのに思い出せない・・」ということがありませんか?
先日、妻と会話していたときに、昔の大河ドラマの話になりました。
「龍馬伝」というタイトルで、福山雅治さんが坂本龍馬役をされていたドラマです。
最終回に龍馬は暗殺されてしまうのですが、隣にいたのが龍馬の盟友であった「中岡慎太郎」です。
「この中岡慎太郎役をしていた俳優さん誰だっけ?」
となったのですが、顔は思い出せても名前が出てきません。
たしか、「か」で始まる名字だったよなあ。
「かとうさん」「かんださん」?
いや、違うよな。。
2人であれやこれや言い合うのですが、結局思い出せず「まあ、いいか」となり別の話題に変わっていきました。
ところが、洗濯物を干しているときに「あっ、そうだ! 上川隆也さんだ!」と突然思い出しました。
思い出そうと一生懸命に頭を使っているときは思い出せないのに、もう忘れてしまった頃になって突然答えが頭に浮かぶ。
こんな経験はあなたにもあると思います。
潜在意識は答えを探し続ける
なにが言いたいかというと、人は考えるのを止めたあとも「もうひとりの自分がずっと答えを探し続ける」ということです。
もう無意識に探し続けているわけです。
ここでは、そのもうひとりの自分を「潜在意識」とよびますね。
自分としては「俳優さんの名前がわからないけど、今はべつにいいや」と思っていたとしても、この潜在意識は答えを探すために、ずっと働き続けているわけです。
では、「答えの見つからない質問」をこの潜在意識に投げかけてみると、どうなるでしょうか?
通常、私たちは
「この仕事を完成させるためには、まずなにをすればいいだろう」
「この資料を完成させるためには、あと何が必要だろう」
のように自分に質問しながら仕事をこなしていますよね。
どれが重要で、優先しなくてはいけないかと区別しながら進めています。
一方、潜在意識は俳優さんの名前でも3日前に食べた昼食でも、人生の大きな選択でも質問は質問です。
重要度や優先順位などはお構いなしに、全部の質問に脇目も振らず答えを探そうとします。
例えば
「なぜメンバーは思うように動いてくれないのだろうか」
「なぜ人間関係がうまくいかないのだろうか」
こうした答えがすぐには見つからない質問に対しても、潜在意識は答えを探そうとするわけです。
答えがすぐには見つからないものを探し続けるのですから袋小路に迷い込みます。
どこに行けばいいのかわからずに歩き続けるのですから疲れもします。
潜在意識は、あなたのエネルギーで動いているわけですから、ムダに消費としているとも言えますね。
どんな質問を自分に投げかけていますか?
あなたは、いま、どんな質問を自分に投げかけていますか?
課題が解決できないのは
「やっぱり自分が悪いからだろうか」
「自分の能力がないからだろうか」
もし、こんなふうに自分に質問を投げかけていたとしたら、
「私の悪いところ」
「私の能力がないところ」
潜在意識はそのことばかりを探しにいきます。
そして、探索の結果として
〇〇のスキルがないから
☓☓の能力が足りないから
人間関係をうまく作れないから
などと考え、自分を思い込んでしまうのです。
でも、立ち止まって考えてみてください。
スキルがない。
能力がない。
人間関係がつくれない。
本当に本当にそうですか?
スキルも能力もなければ、リーダーには任命されていませんよね?
任命されているということは、リーダーとしての能力もスキルも、あなたは持っているのです。
もし、事実としてスキルや能力が不足している点があるのであれば、それを身につけていけばいいだけのことであり、自分を追い込む必要はありません。
完璧な人間なんてどこにもいません。
だって、最初からなんでも上手にできるリーダーなんて、ほとんどいないのですから。
この課題を解決するためにどうしたらいいか?
それでは、自分に対してどんな質問を投げかければいいのでしょうか?
例えば、いま「なぜ部下との人間関係がうまくいかないのだろうか?」と質問していたとします。
これを単純に「どうしたら部下との人間関係がうまくいくだろうか?」と言い換えてみるのです。
つまり「WHY(なぜ)」から「HOW(どうやるのか)」に変えるのです。
そうすると、潜在意識は人間関係を改善するためのアイデアを探しにいきます。
エネルギーを無駄に消費することもなく前に進んでいけるようになります。
潜在意識が探してきた答えが、現状をすぐに変えるものではないかもしれません。
しかし、小さなことでも積み重なっていけば、大きな力になっていきます。
潜在意識が働いているときは、あなた自身のエネルギーを使います。
答えの見つからない質問で浪費するよりも、前に進むための答えを探すことにエネルギーを使ったほうが有益だと思いませんか。
まとめ
総務リーダーとなったときは不安もあるでしょうし、課題も次から次とやってくるかもしれません。
そんなときは、いつものクセで「WHY」から始めてしまうと自分を追い込んでしまいます。
だから「WHY」から「HOW」に変えていきましょう。
「HOWに変えたって、課題は解決しないでしょう・・・」と思うかもしれません。
でも、WHYでは課題が解決しないのなら、HOWを試してみませんか?
頭の中だけで「どうやるのか」と考えるのではなく、紙に書き出したり、つぶやいたりしてみましょう。
それだけでも、課題解決のために潜在意識は動き出します。
動き出せば、必要な情報に目が向き、解決のアイデアが浮かんだりするようになります。
ぜひ、試してみてくださいね。