50代での早期退職、この先どう働くか不安な方へ

早期退職の募集が、ある日突然回ってくる。
退職金の上乗せ額を見て、「これはチャンスかもしれない」と一瞬思う。
でも、その直後に胸がざわつく。
「辞めたあと、自分はこの先どうやって働いていけばいいんだろう」と。
50代で早期退職を考えるとき、いちばん大きな不安はそこではないでしょうか。
「この歳から再就職できるのか」「収入が途絶えたらどうするのか」。
ネットで「早期退職」と検索しても、出てくるのは「末路」「後悔」「やめとけ」という言葉ばかり。
読むほどに気持ちが沈んでいきませんか。
でも、辞めたあとの働き方は、どこかに雇われることだけではありません。
これまでの経験を活かして、自分で仕事をつくり収入を得ていく道もあります。
この記事では、その道をお伝えします。
早期退職は、人生の「転機」

テレビやネットでは、大企業での早期退職募集のニュースがよく取り上げられます。
最近は業績が黒字でも早期退職を募る企業が増えました。
狙い撃ちされるのは、決まって50代の社員です。
退職金が上積みされる、再就職先も紹介してくれるとはいえ、この先が不安になるのは当然です。
中小企業ではそんなサポートがないところもあります。
だから、ネガティブに受け止めている人がほとんどかもしれません。
でも、こうした大きな出来事は転機であり、今後の人生を見直す機会でもあります。
アメリカの心理学者、キャリア研究者であるナンシー・シュロスバーグは、転機を「それまでの役割や人間関係、日々の生活が変わる出来事」と定義しました。
そして、起きた出来事そのものよりも、それを本人がどう意味づけ、乗り越えていくかで、その後のキャリアがつくられていくと述べています。
シュロスバーグは、転機を乗り越えるために、4つの視点で自分を分析することをすすめています。
頭文字をとって「4S」と呼ばれるものです。
- 状況(Situation):いま自分が、どんな状況に置かれているか
- 自己(Self):これまで何を経験し、何を大切にしてきたか
- 支援(Support):家族、周りに頼れる人や支えがあるか
- 戦略(Strategy):これから、どう動いていくか
この4つを整理、分析していくことで、未来のキャリアを自らつくっていきしょうというわけです。
「早期退職」という出来事だけを見ていくと、不安しか感じられないかもしれません。
でも、こうして一つずつ切り分けて考えていくと、「いったい何が不安で、自分にはどんな経験や資産があり、誰を頼れるのか」
そして、自分はこの先、どんなキャリアを積んでいきたいのか、そのためにどう動いていけばいいのかが徐々に見えてきます。
ただ不安を感じて立ち尽くすのではなく、前に進んでいけるようになるのです。
再就職だけが、道ではない

とはいえ、いざ次の働き方を考えようとすると、多くの人が「就職先探し」に走ります。
長年、会社で働いてきたのですから、「働く=就職する」と考えるのは自然なことです。
でも、働き方は再就職だけではありません。
これまでの経験を元手に、自分で起業するという道もあります。
そして、いまその道を選ぶ人は、確実に増えています。
中小企業庁の『中小企業白書』によれば、起業した人に占める60歳以上の割合は増え続けています。
少しデータは古いですが、2012年には、起業した男性のおよそ3人に1人(35.0%)が60歳以上でした。
特別な人だけが起業する時代では、もうないのです。
ただ「起業」と聞くと、それだけで身構えてしまうかもしれません。
でも、その不安の多くは、起業がどういうものなのか、その中身を知らないことからきています。
だから、実際よりも大きく、怖く見えてしまうのです。
しかし、中身が分かれば、不安はぐっと小さくなります。
自分の経験が、そのまま仕事になる

私のクライアントに、飯田恒幸さんという方がいます。
飯田さんは元看護師。
精神科病棟や訪問看護の現場で25年以上働いたあと、50代で独立しました。
今は千葉県成田市で「こころの空」というサロンを開いています。
このサロンは、ドライヘッドスパと心理カウンセリングを組み合わせた、新しいスタイルです。
一見、関係なさそうな2つです。
でも、この組み合わせは、飯田さんの現場経験から生まれたものでした。
看護師をしていると様々な患者さんの対応をします。
人は強い緊張やストレスが続くと、呼吸が浅くなり、首や肩、頭にぎゅっと力が入ります。
体がこわばったままの患者さんに声をかけても、なかなか言葉が出てきません。
逆に、体の緊張がほどけると呼吸が深くなり、心も少しずつ落ち着いて話せるようになっていく。
飯田さんは、その様子を精神科や訪問看護の現場で何度も目にしてきました。
だからこそ「まずヘッドスパで体の緊張をゆるめてから、カウンセリングをして悩みを解消していく」という自分の形にたどり着いたのです。
つまり、25年間の経験が、今の飯田さんの仕事につながったのです。
経験を活かす起業のひとつが、コーチやカウンセラー
飯田さんが自分の経験を「自分だけのサービス」に変えたように、あなたも同じことができます。
50代まで働いてきたなら、人の悩みを聞いて解決に導いたり、難しい局面を切り抜けたりした経験がいくつもあるはずです。
その経験をコーチングやカウンセリングという手法と組み合わせると、いま同じことで悩む人を支える、あなただけのサービスになります。
「専門的に学んでいないから、自分には無理」と思ったかもしれません。
でも、これは医師や弁護士のように、資格がなければ名乗れない仕事ではありません。
いちばんの土台になるのは、専門知識よりも、あなたがこれまで積んできた経験のほうです。
特別な設備もいりません。あなたの経験さえあれば始められます。
もちろん、こうした働き方が、すべての人に向いているわけではありません。
ただ、「これまでの経験を活かして働きたい」「これからも誰かの役に立ちたい」と感じている50代にとって、現実的な選択肢のひとつであることは確かです。
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